人工授精法
精子に異常がある場合/フーナー試験(女性の頚管粘液と男性の精子の適合性)が不良の場合/
性交障害がある方に有効
性交障害がある方に有効
超音波検査などで排卵日を予想し、人工授精の当日の朝、マスターベーション法で精液を採取します。精液の中から良好に運動する精子を選んだ後、不要な赤血球や白血球、細菌などを取り除き、細いチューブで子宮内に注入します。注入に要する時間は2~3分で、とくに痛みなどはありません。
精子に異常がある場合、フーナー試験が不良の場合、性交障害がある方などに有効ですが、原因不明不妊の方にもしばしば採用されます。
精子に異常がある場合、フーナー試験が不良の場合、性交障害がある方などに有効ですが、原因不明不妊の方にもしばしば採用されます。
- 人工授精で妊娠された方を対象に調査したところ、1回目の人工授精で妊娠された方は47%、2回目で23.5%。つまり、70%の方が2回目までに、95%の方が4回目までに妊娠されていることになります(楠原ウィメンズクリニック通院者調べ)。こうした調査結果から、当院では若い方でも3~4回、37歳以上の方なら2回の人工授精で妊娠されなかった場合、治療のステップアップ(体外受精)をお勧めしています。
- 人工授精は排卵日あるいはその前後の日に合わせておこなうため、タイミングがとても重要です。とくに38歳以上の患者さまにとって、不妊治療は時間との闘いのため、たとえ1回のチャンスでも逃さないようにすることがポイントです。
体外受精法
排卵~着床までの過程になんらかの原因がある方に有効
卵を卵巣から取り出し、培養液の中で精子と受精させた後、受精卵(胚)を子宮に戻し、着床させる治療法です。
より多くの卵を取り出すために、月経3日目から排卵誘発剤を毎日注射します。卵胞の大きさが18~20mmに達したら、卵巣の中から卵を吸引します(採卵)。採卵にかかる時間は10分程度。麻酔をするため、大きな痛みはありません。採卵された卵はただちに培養液に入れ、その後精子を加えます。受精が確認できたら、受精卵(胚)の細胞分裂を見守り、3~5日目に子宮へ戻す胚移植をおこないます。胚移植は5~10分程度で、痛みはなく、麻酔も必要ありません。子宮へ戻す胚の数は通常1個、多くても2個です。同時に胚が着床しやすいように、黄体ホルモンの注射などをおこない、子宮内膜のコンディションを整えます。
より多くの卵を取り出すために、月経3日目から排卵誘発剤を毎日注射します。卵胞の大きさが18~20mmに達したら、卵巣の中から卵を吸引します(採卵)。採卵にかかる時間は10分程度。麻酔をするため、大きな痛みはありません。採卵された卵はただちに培養液に入れ、その後精子を加えます。受精が確認できたら、受精卵(胚)の細胞分裂を見守り、3~5日目に子宮へ戻す胚移植をおこないます。胚移植は5~10分程度で、痛みはなく、麻酔も必要ありません。子宮へ戻す胚の数は通常1個、多くても2個です。同時に胚が着床しやすいように、黄体ホルモンの注射などをおこない、子宮内膜のコンディションを整えます。
- 体外受精の成功の秘訣は、患者さまに合う卵巣刺激法を選び、良好な卵子を採取することにあります。また卵を育てる胚培養士の技術はもちろん、培養設備の技術も日進月歩で発展しています。最新の培養器と培養環境が用意されているかどうかも確認のポイントとなります。
- 体外受精治療では排卵誘発剤の注射や卵のモニタリングなどのため、ポイントの日ごとに通院が必要になります。当院では排卵誘発剤の注射はご自身でおこなっていただくことも可能です。
- 良好な胚や胚盤胞が2個以上確保できた場合は凍結保存し、次の凍結胚移植に使えます。
40歳以上のカップルの場合、体外受精を不妊治療のスタートとしても決して性急ではありません。卵巣機能や造精機能は加齢とともに衰えていくことが明らかですし、1年に12回しかない妊娠の機会も残り少なくなりつつあります。カップルでよく話し合い、より積極的な治療法をお選びください。
顕微授精法(ICSI)
精子の数や運動率が低い場合に有効
体外受精法と同じ方法で卵を取り出しますが、受精させるとき、卵と精子を同じ培養液に入れるのではなく、精子を極細ピペットで卵子の中へ直接注入します。すべて顕微鏡を見ながらおこないますので、顕微授精法と呼ばれます。
精子の数が極端に少ない場合や動きが悪い場合、培養液の中で同居させても受精が起きにくいため、顕微授精が必要となります。
精子の数が極端に少ない場合や動きが悪い場合、培養液の中で同居させても受精が起きにくいため、顕微授精が必要となります。
胚凍結保存法
1回目の胚移植(受精卵の移植)で妊娠に至らない場合に活用
体外受精法や顕微授精法では卵巣刺激法をおこない、複数の卵の発育を促します。しかし、多胎妊娠を避けるため、移植胚は1個または2個までに制限されており、胚が余るケースが増えています。そこで胚を凍結し、次の治療に備えます。
体外受精、顕微授精による妊娠率/原因不明不妊
体外受精、顕微授精による妊娠率
ARTの成績ARTの成績の出し方はいろいろありますが、一般的な方法は胚移植あたりの妊娠率で表されます。当クリニックの最新のデータです。なお移植された胚は全て凍結胚です。
原因不明不妊
基礎体温をはじめとする通常の検査でも原因が不明な不妊
不妊期間が1年以上あり、精子検査や子宮卵管造影法などの検査をおこなっても原因が判明しない場合を「原因不明不妊」といいます。
ただし、原因不明不妊の場合も、腹腔鏡により骨盤内を検査すると、子宮内膜症や卵管の癒着が見つかるケースもあります。
ただし、原因不明不妊の場合も、腹腔鏡により骨盤内を検査すると、子宮内膜症や卵管の癒着が見つかるケースもあります。
- 患者さまが20代~30代半ばで不妊期間が短い場合、3ヵ月~6ヵ月程度タイミング法をおこない、それでも妊娠されない場合、人工授精⇒体外受精へとステップアップしていきましょう。 37歳以上で不妊期間が3年以上の場合は、ひととおりの検査で、ある程度原因を探した後は、速やかに人工授精⇒体外受精へ進むことをお勧めいたします。